姿勢が体に与える影響について

愛知県春日井市の鍼灸マッサージ室ゆうせんの山本眞幸です。

様々なお悩みを持った患者さんと接していると姿勢の大切さを痛感します。

最初は肩こりや腰痛との関係に注目していたのですが、頭痛やめまい、冷え症など原因がはっきりしない不定愁訴でお悩みの方に猫背や円背姿勢が多いことに気がつきました。

このページでは不良姿勢から起こる様々な影響について考えてみたいと思います。

不良姿勢といってもいろんなタイプがあります。

骨の変形などを除くほとんどのケースは筋肉のアンバランスが関係していますが、タイプによって縮んでいる筋肉、伸びている筋肉が違います。

一般的に姿勢は以下のタイプに分類されます。（ケンダルの分類）

姿勢を評価する際の基準点は以下の５点になります

1. 外くるぶしの少し前
2. 膝
3. 股関節の大転子（一番出っ張っている所）
4. 肩峰
5. 耳

​この５点が一直線になっていること

そしてＣの反り腰猫背のように一直線になっていても脊柱の湾曲が大きくなっている場合もあります。

先ずは自分がどのタイプか知ることが大切です。

やり方は簡単で、基本的に壁を背にして立つことで判断できます。

1. 壁を背にして１０㎝前に立つ
2. 徐々に後ろに下がりお尻と背中が一緒に着くか、どちらかが先に着くかをチェック
3. 踵から背中全体を壁に着ける（楽な姿勢で）

• ​腰と壁の隙間をチェックし、手のひらが入る位が正常、それ以上なら反り腰、それ以下ならフラットバックや円背
• 頭が壁に着くか、また着けた時無理な力が入っていないかで猫背をチェック

反り腰・スウェイバック・フラットバックなどの個別のタイプについては以下のページで簡単に解説しています。

よかったら覗いてみて下さい。

そもそも姿勢が乱れる原因は何なのか・・・？

それは抗重力筋の筋バランスが崩れたからです。

姿勢を維持するためには体の主に前後にある「抗重力筋」と呼ばれる筋肉が絶妙のバランスで折り合う必要があります。

一般的に目や内臓が背骨より前にあるため人の身体は前に丸まりやすく、日常動作の80％以上が屈曲姿勢です。

そのため背中の筋肉（脊柱起立筋など）が伸ばされ続けることで弱くなり、胸椎が後弯して次第に姿勢を維持できなくなります。（胸椎の伸展力低下：反らせる力）

私の考えではこの胸椎の伸展力低下を別の部位で修正しようとするため姿勢が乱れてくるパターンが多いのではないかと思います。

• 高齢者では体幹の筋力が弱く、膝を曲げることで調整します
• 体幹の筋力が弱い女性や中高年では股関節を前に出すことで調整します（スウェイバック）
• 筋力が比較的ある場合腰椎や頚椎を反らせて調整します（反り腰）

またスポーツを積極的にされている方は腸腰筋・大腿四頭筋（大腿直筋）が硬くなりやすく、そのため骨盤が前傾し反り腰になります。

• 逆に運動不足の方では腹筋群が弱くなり背筋群優位になるので反り腰になります
• また妊娠や肥満などでお腹が出ると、「前が重たくなる→体を反らせてバランスと取る」という姿勢を取るため反り腰になります。

上の項で説明した通り、胸椎の後弯・伸展力低下に伴って上半身・下半身に様々な影響を与えます。

この関節運動の連鎖を運動連鎖と言います。

そのため当然肩こり・首こり・腰痛を引き起こします。

しかしそれ以外にも肩関節や脚（特に膝）にも大きく影響します。

1. 猫背（胸椎後弯）では肩甲骨が挙上・外転します
2. 肩関節が内旋、上肢が内旋されます
3. 肩関節や肘、手首などの痛みにつながります

下の画像のように猫背姿勢では腕を耳の横まで上げることができなくなります。

また骨盤は通常少し前傾しているのですが、不良姿勢では過剰に前傾したり後傾したりします。

そのため腰椎への負担が増加し腰痛につながりますが、それ以外にも特に膝に大きな影響を与えます。

1. 骨盤が前傾すると股関節が内旋します（内側に捻られる）
2. 股関節内旋で脚全体も内旋します
3. 立位では足底が固定されるので足首や膝には反対の外旋の力がかかります
4. 膝上の大腿骨に対して下にある下腿の骨が外旋することで膝関節に大きな負担がかかり、痛みにつながります。（下腿外旋症候群）

（骨盤後傾では逆の動きになります）

腰痛や肩こりでは不良姿勢は直接の原因になりますが、肩関節や膝の痛みでは間接的原因になり見過されがちです。

自律神経の不調では精神的なストレスや生活習慣の乱れを連想しますが、それだけではありません。

姿勢など身体的なストレスも大きく影響します。

気分が落ち込んだ時背中が丸まっていることありませんか？

精神的・自律神経的な症状と姿勢って関連しているんです。

自律神経には活動的な状態にする交感神経とリラックス状態にする副交感神経があります。

• 交感神経は脊柱の両脇にある交感神経幹を通り各臓器に分布し、脊柱（脊髄）とも連絡を取り合っています。
• 副交感神経は脳から直接つながる脳神経（体幹では迷走神経）が首や食道近くを下り各臓器に分布しています。（大腸の一部と膀胱・生殖器は骨盤から分布）

このように自律神経も脳からの神経線維が体内を走行しているので、不良姿勢により交感神経や副交感神経が圧迫されるなど様々な影響を受けることになります。

• 特に頭が前に出る頭部前方偏位による首の筋肉の緊張により、自律神経に大きな影響を与えることが解っています（頚性神経筋症候群：首こり）

首は全ての神経の通り道です。

自律神経に影響を与えるものに呼吸があります。

一説には「呼吸は自律神経にアプローチできる唯一の方法」という話を聞いたことがあります。

人は呼吸で酸素を取り込み、血管を通じて各臓器に栄養を運びます。

• 不良姿勢（猫背など）で胸郭が狭くなることで深い呼吸が出来ず、十分な栄養を与えることができなければ自律神経にも影響を与えます。

特に脳は酸素消費量が多く、思考などにも影響します。

よく肩こりの治療で体調全般が改善することがありますが、これは「首こり」が解消することと首肩周囲にある硬くなった「呼吸補助筋」が緩んで呼吸が改善することも関係しています。

自律神経に関しては以下のページでも説明しています。

よかったら覗いてください。

当室では様々な痛みやお悩みの背景には姿勢の乱れが関係しているという考えから、不良姿勢の改善にも力を入れています。（ただし美容目的では行っておりません）

またしっかりと痛みやお悩みを評価するため

施術時間以外に最大で３０分程度余分にお時間を頂いています。

追加料金はございませんが、お時間に余裕を持ってお越しください。

鍼灸マッサージ室ゆうせんでは姿勢の改善にストレッチポールを取り入れた治療を行っています。

ストレッチポールは長さ約１メートルの円柱のポールに仰向けで乗り、様々な運動を行うことで姿勢が整います。

当室は日本コアコンディショニング協会（JCCA）ベーシックインストラクターというストレッチポールの指導資格を取得しています。