反ると痛い腰痛の原因と治療について

愛知県春日井市の鍼灸マッサージ室ゆうせんの山本眞幸です。

このページでは「体を反らせると痛い腰痛」について考えてみたいと思います。

腰痛でお悩みの患者様の訴えとしては「前屈（前かがみ）」や「回旋（左右に捻る）」が多い印象ですが

動作を評価すると「反らせると痛い腰痛（伸展型腰痛）」の比率はかなり高いのではないかと感じています。

日常動作では椅子から立ち上がる時や高い所の物を取る時などに腰の伸展動作が関係しています。

また反り腰など姿勢との関りも深いです。

「そんなの腰が反るんでしょ」って思っていませんか？

もちろん腰は動きますがそれだけではなく、頭から足まで全身を使った動作なんです。

下から見ていくと・・・

• 足関節が背屈して、脚が前方倒れて股関節が前方に移動します。
• 股関節が伸展して、骨盤が後傾します。
• 腰椎・胸椎・頸椎（脊柱）が後ろに倒れて体を反らせます。

先ず脊柱の動きに関しては

腰椎は１５°しか伸展できません。

しかし胸椎が２５°伸展できるので、胸腰椎としては４０°伸展できます。

ですから胸椎の柔軟性がなければ、その分腰椎が余分に反ることになり腰痛につながります。

これは簡単にいうと、「腰椎と骨盤は一緒に動く」ってことです。

例えば前屈では

• 腰椎が４０°動くと股関節が７０°動きます。
• 前屈前半は腰椎の屈曲中心で次第に股関節の比率が高くなります。

こんな感じになります。

伸展に関しては

• まず骨盤が後屈して、その後腰椎が伸展する

つまり前屈とは逆で骨盤から動きます。

股関節が硬くて骨盤の後傾がなければ余分に腰椎が反ることになるので腰痛につながります。

前屈型腰痛では腰部筋が伸張することで痛みを出すことが多いのに対して

伸展型腰痛は腰椎間の関節で後方にある「椎間関節」が伸展動作で圧迫されることで起こることが多いのが特徴です。

これは腰椎が必要以上に伸展してしまうために起こります。

もちろん骨の変形などが原因であることもありますが、多くは筋バランスの乱れのケースがほとんどです。

つまり胸椎に柔軟性がなかったり、骨盤が前に動かなかったり後傾しなかったりすることで腰椎が余分に反ってしまうことが原因になります。

この点は前屈型腰痛と根本原因は同じです。

椅子から立ち上がる際には体幹の伸展動作が必要になります。

この立ち上がり動作では、まず座位で体幹を十分に前屈させることが必要です。

例えば長時間の座位姿勢では臀筋や太もも裏のハムストリングスの柔軟性が失われています。

その状態では体幹を十分に前屈することができず、立ち上がる際に腰椎を過剰に進展させることになり痛みにつながります。

ここまでのことを踏まえて、伸展で痛い腰痛の原因を考えてみたいと思います。

体幹の伸展には以下の３つの働きが特に重要になります。

1. 骨盤の前方へのスライド
2. 骨盤の後傾
3. 腰椎を含む脊柱の伸展

体幹の伸展動作ではまず初めに骨盤（股関節）が前方にスライドする必要があります。

これがないと腰椎が過剰に伸展しなければならず、腰椎後方の椎間関節に大きな負担がかかることになります。

特に原因になりやすいのが股関節の前側にある腸腰筋と大腿直筋です。

これらが縮んで短縮したままだと骨盤が前方へスライドできなくなり腰椎が過剰に伸展することになります。

またこれらは骨盤を前傾させる働きがあり、骨盤の後傾も制限することになります。

体幹の伸展には脊柱の伸展と骨盤の後傾が必要ですが（腰椎骨盤リズム）、反り腰では骨盤が前傾で固定されているので後傾が制限されます。

加えて元々腰椎が過前弯で反っているところへ、さらに伸展されるので椎間関節に大きな負担になります。

反り腰の主な原因は

• 腸腰筋、大腿直筋の短縮
• 腰部脊柱起立筋の短縮

これらを改善していく必要があります。

平背（フラットバック）とは脊柱の生理的な湾曲が失われて、真っすぐになっている姿勢のことです。。

この姿勢の特徴は体幹筋の緊張が高く、特に胸腰椎の柔軟性が失われていることです。

伸展動作では脊柱を反ることができず、骨盤（股関節）への負担が大きくなります。

特に仙腸関節への負担が大きくなります。

平背の原因としては

• 太もも裏のハムストリングス短縮による骨盤の後傾
• 体幹筋の緊張による脊柱の柔軟性低下
• スポーツや筋トレによる腹直筋の緊張

こうした点を改善していく必要があります。

鍼灸マッサージ室ゆうせんでは治療で一番大切なのは原因を見つけることだと考えています。

そのため施術時間以外に最大で３０分程度お時間をいただいて、しっかりと評価しています。

1. まずはしっかりとお話を伺います。
2. 姿勢を評価します。
3. 痛みの出る動作を様々な視点で評価します。

この時点で主な原因が「腰から上にあるのか？」「骨盤から下にあるのか？」を判断します。

そして誘発動作という評価法を使い、痛みの原因を見極めています。

当室は鍼灸やマッサージを中心に筋膜リリースや運動療法、ストレッチポールなど痛みに応じた様々な手技を用いて施術しています。

マッサージは一番気軽に受けていただける施術方法でリラクゼーション効果も高いです。

特に姿勢のところで説明した「短縮固定（縮んだままの筋肉）」へのアプローチに適しています。

ただし「伸張固定（のばされたままの筋肉）」へは十分ではありませんので、運動療法などを加えていきます。

当室は「あん摩マッサージ指圧師」というマッサージの国家資格者による施術です。

鍼灸はマッサージと比べると苦手な方もいて少しハードルが高いですが、鎮痛効果が高いです。

特に「短縮固定」された筋肉を緩めるだけではなく、低周波鍼通電法（電気鍼）では伸張固定された筋肉を収縮させることができるので治療効果が高くなります。