特に「ツボ（正式には経穴）」やそのつながりである「経絡（けいらく）」は神経や血管、筋膜のつながりと一致している部分が多く、気の流れに関係なく神経・血管・筋膜という視点でも治療することが可能です。特に最近は伝統的な治療方法だけでなく、西洋医学的な視点での鍼灸治療が主流になりつつあります。
鍼灸マッサージ室ゆうせんでも主に筋膜のつながりという視点で治療しています。

鍼灸の反応について

鍼灸は体の反応を利用した治療法で、はりは機械的に微細な傷をつけ、お灸は軽度の火傷です。
こうした刺激によって「体が治さなければ」と働いてくれます。

具体的には

モルヒネに似た「内因性オイピオイド」というホルモンが放出され、痛みの神経をブロックします。
筋肉の緊張を和らげます。
毛細血管が拡張して新陳代謝が高まり、筋肉の疲労が回復します。
体性内臓反射（自律神経反射）によって内臓機能や自律神経系を改善させる効果があります。

もちろん個人差や症状によって効果や治療期間に違いはありますが
鍼灸を継続することで痛みが和らぐだけではなく、本来の自然治癒力を引き出して、免疫機能が高まります。

ツボ（経穴）や経絡には意味がある

ツボは全身に３６０余りあり、特によく使用するツボは筋肉が重なっていたり、神経や血管が通っていたりする重要な場所にあります。

またツボやそのつながりである経絡にはそれぞれ特徴的な働きがあります。

例えば・・・

風邪の初期や呼吸器系疾患があれば「肺経」
イライラしていたり頭痛や目の疾患があれば「肝経」
精神的な悩みや不眠などがあれば「心経」
胃腸や女性特有の症状なら「脾経」
生殖や泌尿器系疾患や足腰の冷え、高齢者なら「腎経」

このように肩こりや腰痛などの運動器系疾患に加えて様々な症状を伺いながらツボや経絡を加えていきます。

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鍼灸の効果について

ここからは鍼灸治療の効果について私なりに説明したいと思います。

痛みを取るなら鍼灸がおすすめ

１４年の治療家としての経験から感じることは
「鍼灸は痛みが取れる」ということです。

鍼灸マッサージ室ゆうせんの治療の流れは

評価→マッサージ→再評価→鍼灸→再々評価です。
（鍼灸は希望者のみです）

しっかりと評価してマッサージや筋膜リリースをしても痛みが残ってしまうことがありますが
その後に鍼灸をするとほとんどのケースで痛みがさらに改善しています。

「来た時よりも楽になって帰ってもらう」
これをモットーにしている当室では鍼灸の筋肉の緊張を和らげる効果や鎮痛効果を実感しています。

私が思う鍼灸の利点や魅力

筋・筋膜を直接刺激できる

マッサージや電気などは皮膚の上からですが、鍼なら直接刺激できます。
こうした手技は医師が行う治療以外では鍼だけができることです。
特に過緊張した筋肉に対しては効果が高いです。

深部にある筋・筋膜にも確実にアプローチできる

筋肉は多層構造になっています。
例えば腰では一番表層に広背筋、その下に脊柱起立筋、その奥に多裂筋といった構造になっています。
多裂筋は腰痛の原因になりやすいのですが、これをしっかり緩めようとすると鍼の方が早くて確実です。

広背筋

脊柱起立筋

固まってしまった筋肉を動かす～低周波鍼通電（電気鍼）

肩こりや腰痛では長時間の同一姿勢などで首肩や腰やお尻の筋肉が固まってしまっています。
このような時は刺した鍼に低周波の電気を流して筋肉を収縮させる「低周波鍼通電（電気鍼）」がとても効果的です。
電気による鎮痛効果もあり一石二鳥です。

鍼経験の有無や症状によってご提案しています。

リラックスできて元気になるお灸

温かくて気持ちがよくリラックスできるのがお灸です。

「灸をすえる」などいい意味で使われていませんが、それは皮膚の上に艾（もぐさ）を乗せて最後まで焼き切ってしまう「透熱灸（とうねつきゅう」という手法のことです。
当室で主に行っているのは「温灸（おんきゅう）」という皮膚と艾の間に空間や台座のあるものですので火傷などの心配はありません。

単に筋肉を緩めるだけなら鍼だけでもいいのですが、「気の流れ」というものを意識して、ちょっとお疲れ気味だったり元気を取り戻したいときなどは有名な「足の三里」や「三陰交」、おへその上や下などの気を補うツボにお灸をすると熱で気の流れが活発になり調子が良くなります。

体調を整える

頭痛やめまい、不眠、胃腸症状などでは画像診断では異常がなく、自律神経などの働きが低下または亢進する（機能障害）場合が多いです。

こうした不定愁訴では首回り、お腹や背中、手や足の筋肉に硬さが出ることも多く、様々な反応が体表にも表れます。

当室では問診や脈診、腹診、筋肉の硬さなどから効果のあるツボにはりやお灸をすることで体調を整えていきます。

多くの部位を同時に一定時間刺激できる

最大の利点は多くのポイントを同時に、しかも一定時間（１０～１５分程度）刺激できることです。

マッサージなどでは同時に刺激できるのは多くて２つです（両手の母指で押さえる場合）し、一か所に１０分も時間をかけることは不可能です。

鍼灸への疑問について

ここからは鍼灸に関して多い問合せ内容についてご紹介します。

鍼は痛くないですか？

ほとんど気にならないと思います。

決して無痛というわけではありませんが、シャープペンの芯を肌にあてた程度だと思ってください。
病院の注射針を連想される方が多いのですが鍼の太さは注射針の1/4以下です。
ほとんど気にならないと思いますよ。

お灸は熱くないですか？

気持ちのいい熱さです。

当室で使っているお灸の熱さは５５°前後です。
当然熱感はありますが、気持ちのいい熱さです。

鍼灸はどんな症状に効果がありますか？

特に筋・筋膜性の痛みに効果があります。

特に肩こりや腰痛、筋肉痛など筋・筋膜性の痛みには効果が高く即効性があります。
頸部や腰部のヘルニアや脊柱管狭窄症、変形性関節症など骨や椎間板、軟骨などの変形を元に戻すことはできませんが、疼痛の緩和には効果があります。
また頭痛やめまい、不眠などの原因のはっきりしない症状にも治療を継続することで効果が期待できます。

どんな症状の方が多いですか？

肩こりや腰痛などでお悩みの方が多いです。

肩こりや腰痛はもちろんですが、四十肩・五十肩、肘の痛み（内側上顆炎、外側上顆炎）、手首周辺の痛み（腱鞘炎）などにお悩みの方が多いです。
また主訴は運動器疾患ですが、頭痛や不眠症、冷え、胃腸症状など併発されている方も多いです。

女性の患者さんはいますか？

４割が女性の患者様です。

マンションの一室で５０代のおっさんが一人でやってる鍼灸院ですのでやはり男性の患者様の方が多いです。最近は女性の方も増えてきて現在４割が女性の患者様です。
そして熱心に通っていただいている患者様は女性の方が多いです。

どんな年代の方が通っていますかか？

３０代から６０代の方が多いです。

土日祝日営業、夜１１時まで営業していますので働いている方が多く通われています。

鍼灸のツボはどうやって選ぶのですか？

誘発動作や脈診、腹診などで痛みや体の状態を評価して選びます。

肩こりや腰痛など筋・筋膜性の痛みでは姿勢や痛みの出る動作から原因を探す「誘発動作」で評価して選びます。また脈やお腹、首や手足にある反応点の圧痛などから体の状態を評価して免疫を向上させるツボなどを選んでいます。

マッサージもしてもらえますか？

マッサージのみ、鍼灸とマッサージ、どちらかをお選びください。

当院はまずはマッサージで痛みを和らげてから鍼灸をするという治療の流れになっています。
マッサージで全身の筋肉の状態を把握し緩めて、患者様にもリラックスしていただいてから鍼灸をします。６０分の鍼灸とマッサージコースでは３５分程度がマッサージ、２５分程度が鍼灸になります。

どんな鍼灸治療をしていますか？

まずは筋・筋膜性の痛みを改善する治療を行います。

筋肉や関節が原因でお悩みの方が多いので、まずは誘発動作や姿勢を評価して筋・筋膜を調整する鍼灸治療を行います。
具体的には原因と思われる筋肉に１０分ほど鍼を刺したままにして（置鍼）、お灸をしたり、刺した鍼に電極をつないで通電したりします。（低周波鍼通電）
頭痛やめまいなどの不定愁訴も首周囲の筋肉を緩めると改善することも多いです。
その後は状況をみて体調を整える治療を加えていきます。