背中の痛み／肩甲背神経と頚椎の関連痛

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愛知県春日井市の鍼灸マッサージ室ゆうせんの山本眞幸です。

肩こりで来室される患者さんの中には一般的な肩こりやとは少し違う痛みを訴える方が案外多いんです。

痛みある場所は肩から肩甲骨なんですが、実は筋肉ではなく神経の痛みや頚椎の関連痛が原因のこともあります。

肩甲骨の内側やにマッサージや鍼灸をしても痛みが変わらい方は「肩甲背神経」や「頸椎の関連痛」など首が原因かもしれません。

ここでは首が原因の背部痛について一緒に考えてみたいと思います。

背中の痛みで真っ先に思い浮かぶのは肩こりです。

症状の出る部位としては以下の３つの筋肉が代表格です。

1. 僧帽筋上部繊維
2. 肩甲挙筋
3. 小菱形筋と大菱形筋

これらの筋肉は後頭部・頸椎・上部胸椎と肩甲骨をつなぐため、長時間のデスクワークなどで猫背姿勢が続くと大きな負担がかかり肩甲骨の間にも痛みが出ます。

筋肉の硬さや柔軟性の欠如が原因であればマッサージや鍼灸、ストレッチなどで改善しますが、それでも症状にあまり変化がないケースがあります。

特に

• 痛みのある部位にマッサージや鍼灸でも痛みが変わらない
• 背中の奥が痛い感じがする
• 首の動きで背中に痛みが出る

こんな時は肩甲背神経痛か頚椎の関連痛が原因かもしれません。

肩甲背神経は首から腕へつながる腕神経叢（わんしんけいそう）から枝分かれした神経で頚神経Ｃ４とＣ５神経に由来しています。

首の横にある中斜角筋を貫いて背中に回り、肩甲挙筋や大小菱形筋の下を走行しています。

そのため肩甲挙筋や菱形筋による圧迫以外にも、頚椎の変形や頚部椎間板ヘルニア、斜角筋の硬さなど首が原因で肩甲背神経が圧迫されたり牽引されることもあり背中に痛みが出ます。

この場合は痛みのある部位（背中）に施術しても症状は改善しません。

特に首の動きで背中に痛みが出るケースでは頚部へのアプローチが必要になります。

症状のない人に画像診断をすると多くの人に椎骨の変形（頚椎症や腰椎症）や椎間板ヘルニアがあるという報告があります。

私自身も数年前に交通事故でムチウチになった際にＭＲＩ検査を受けて「年齢的な下部頸椎の変形があります」といわれて驚いた経験があります。

首ではこうした変形は腕へのしびれや痛みのある「頚椎症性神経根症」や「頚部椎間板ヘルニア」と考えがちですが、そこまでひどくなく画像診断でも異常のない方の方が多いと思われます。

椎骨は椎間板と後方にある左右の椎間関節で上下の椎骨とつながっているので、外的な力や不良姿勢、年齢的要因などでこれらに負担がかかっています。

そして腕への腕神経叢だけでなく、様々な末梢神経が椎間板や椎間関節周囲には分布しています。

そのため頚椎の椎間関節や椎間板に負担がかかり炎症などが起きると、少し離れた部位に痛みを生じることがあります。

これが頚椎の関連痛です。

痛みの分布は下図になり、背中の痛みではC5-6やC6-7になります。

また頚椎症性神経根症や頚部椎間板ヘルニアの前や同時に起こることもあります。

頚椎症性神経根症や頚部椎間板ヘルニアの場合は腕へ腕神経叢が圧迫され痛みやしびれが出ますが、その場合下図のようなデルマトームという分布に沿った症状が特徴です。

肩甲背神経が原因のケースでは肩甲骨の間に痛みがでますが、肩甲骨の内縁に沿った痛みの場合は肩甲背神経を疑う必要があります。

よく「背中の奥の方が痛い」という声を伺いますが、肩こり特有の「突っ張り感」とは少し痛みの種類が違っている印象です。

頚椎の関連痛では肩こりと似ているため鑑別が難しいですが、首の伸展動作などで痛みが出る場合は関連痛を疑う必要があります。

原因としては大きく分けると以下の２つが考えられます。

1. 首に原因があるもの
2. 痛みのある部位の筋肉（僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋など）が原因のもの

この評価では先ず「１であるか否か」を鑑別することが大切です。

正式には医療機関での画像診断が必要ですが、治療院では徒手による検査や動きなどで判断します。

具体的には

• しびれや痛みが背中以外にもあるか否か

頚椎の変形や椎間板ヘルニア、筋肉でも斜角筋が原因の場合（斜角筋症候群）は肩甲背神経だけではなく腕への神経も圧迫されることがあり肩周辺や腕に痛みが出ることがあります。

背中にある肩甲挙筋や菱形筋で肩甲背神経が圧迫される場合は背中以外に症状が出ることはほとんどないため、首が原因が否かを判断することができます。

• 首を後ろに倒す、または痛い方の斜め後ろに倒す、痛い側に倒すなどの動きで痛みが出るか否か

頚椎の変形や椎間板ヘルニアや頚椎の関連痛ではこうした動きで痛みが出ます。
これで症状が出ない場合はさらに頭部を圧迫するスパーリングテストやジャクソンテストを行います。

これで症状が出れば頚椎の変形もしくは頚部椎間板ヘルニアの可能性が高くなります。

背部痛の原因は肩こり以外にも「肩甲背神経」や「頸椎の変形」「頚部椎間板ヘルニア」「斜角筋」、背中の「肩甲挙筋や大小菱形筋」「頚椎の関連痛」にあることはわかっていただけたと思います。

これらの根本的な原因として一番多いのは猫背やストレートネックなどの不良姿勢です。

骨や椎間板の変形は年齢的要因・骨密度なども関係しますが、姿勢が悪ければ筋肉だけでなく頸椎や椎間板にも大きな負担になります。

脊柱は生理的湾曲というＳ字カーブによって重力や様々な衝撃を吸収しています。

特に頚椎は５～６㎏の重たい頭を支えています。

デスクワークなどで猫背に伴う頭が前に出る姿勢（頭部前方偏位）が長時間続くことでＳ字カーブが失われ、頚椎や椎間板に大きな負担になります。

特に頚椎が前へ傾斜することで上を向く動作（伸展）では頚椎後方により大きな負担がかかります。

また頭部前方偏位では斜角筋、肩甲挙筋、大小菱形筋にも大きな負担がかかります。

頭部が前方に偏位することで

1. 斜角筋が前方に引っ張られ筋緊張が高まる
2. 肩甲骨に付着する肩甲挙筋も上へ引っ張られ筋緊張が高まる
3. 猫背では肩甲骨が外側に開く（肩甲骨外転）ため大小菱形筋が引っ張られ筋緊張が高まる

長時間のデスクワークなどで気がつくと足を組んでいることがあります。

これも腰だけではなく首への負担も増加してしまいます。

• 左足を上に足を組む→骨盤が右へ回旋する→正面を向くために首や肩が反対の左に回旋する

また

• 左足を上に足を組む→左の骨盤が上がる→体が傾くため脊柱が側屈して頭を平行にする。

こうして首や肩にも捻じれが生じて左右差が出来てしまいます。

当室ではしっかりと痛みを評価するため施術時間以外に最大で３０分程度余分にお時間を頂いてにおります。追加料金はありませんがお時間に余裕を持ってお越し下さい。

治療の前提としてしっかりと痛みを評価します。

そして先ずは首の動きを良くするためマッサージや筋膜リリース、ストレッチなどを行います。

首の動きには上肢など様々な部位が関係していますので、筋筋膜のつながりや運動連鎖を基にして丁寧にリリースしていきます。

次に希望される方に鍼灸治療を行います。

鍼灸は深部を直接刺激できることが最大の特長で鎮痛や血流の改善、筋緊張の緩和などの効果があります。

特に首が原因のケースは椎間関節、椎間板、神経など深部にある部位が痛みに大きく関与していますので鍼灸治療がおススメです。

未経験や苦手な方には強制や無理な勧誘はおこないませんが、刺激は調整しますので痛みでお悩みならぜひお試しください。

背部痛には様々な原因がありますが共通することは
不良姿勢が大きく関与していることです。

この改善には患者様ご自身が日ごろから姿勢に気をつけてセルフケアすることが欠かせません。

当室では症状に合ったセルフケア方法を紹介するとともに、治療にストレッチポール運動を取り入れています。（症状によります）

特に猫背をはじめとする姿勢の改善にはとても効果的です。

先ずは肩甲背神経が下を通過する「肩甲挙筋」「大小菱形筋」です。

胸椎や胸郭の動きが悪ければ頚椎の動きも悪くなってしまいます。

猫背は首の大きな負担になるのでバスタオルなどを使って改善しましょう。

その他の首肩のストレッチは下記のページを参考にして下さい。

ただし首に痛みの出る場合は中止してください。